被災地にピアノの響きを!プロジェクト

平成の記憶として忘れてはならないのは、大地震と豪雨の被害です。平成30年7月豪雨では、2018年6月28日から7月8日にかけて、西日本に大規模な水害をもたらしました。日本もClimate Change(気候変動)とは無縁でいられないことを実感する出来事であったと言えます。
岡山県倉敷市真備町では、小田川とその支流の堤防が決壊し、広範囲が冠水する被害が出ました。そしてそこに、中学校が2校。真備中学校と真備東中学校です。下の写真をみて、絶句しない方はいないでしょう。

2018年7月真備東中学校のピアノ
2018年7月真備東中学校

楽器を支援したい

Facebookグループ「クラシックを聴こう!」では、「被害を受けた楽器の面で、なにかできないか」という話題が早くから出ていました。被災地では衣食住の安定が優先課題。 きっとピアノの練習もままならない子どもがいるはずです。 現地が落ち着くのを待って、倉敷市教育委員会に連絡し、慎重に話し合ってきました。

一方で、ベルリン独日協会では、副会長の竹谷宗久氏が中心となり、支援金を集めるチャリティコンサートをたびたび開催されていました。同協会は3.11の東日本大震災においても、学校に楽器を支援した経験があります。竹谷氏は「クラシックを聴こう!」の会員でもあることから、「一緒にできることをやりましょう」と意見が一致し、ベルリン独日協会とクラシックを聴こう協会とが、真備中学校および真備東中学校に対して、楽器を支援するプロジェクトをたちあげることにしたのです。

楽器を選んだのは、もちろん私たちが音楽を趣味としているからですが、災害時の復興においては「後回しにされるもの」であるということもあります。衣食住と学習する環境の復活が最優先課題とされるのは当然のことです。しかし、音楽こそ、心の支えになるものでしょう。子どもたちから楽器にふれる機会を奪うことは、未来を奪うことです。学校からピアノの響きが失われることは、思い出も褪せるということです。

必要な金額

また、学校のピアノが復活していれば、自宅で練習ができなくなったお子さんも、練習を継続することができるでしょう。現地からの要望をうかがうと、グランドピアノ2台(真備中学校・真備東中学校)とクラシックギター1台・バスドラム2台でした。
税抜の定価での価格ですが、楽器を選定したら、このような金額となりました。

楽器メーカー型番価格台数
グランドピアノカワイGL-301,350,00022,700,000
クラシックギターヤマハCG10225,000125,000
バスドラムヤマハMG-8324WH100,0002200,000
   合計 2,925,000円

ベルリン独日協会のチャリティコンサートで集まったのは、849,591円(1ユーロ=121.20円換算)でした。必要な差額は2,075,409円(定価・税抜の試算)。クラウドファンディングの手数料(17%)や諸経費、それに消費税を加えて、250万円が必要です。

5月8日~7月8日にクラウドファンディングを実施

250万円を目標金額として、5月8日から、被災1年となる7月8日の間、クラウドファンディングを実施します。学校にピアノの響きを、子どもたちに演奏にふれる機会をとりもどすプロジェクトです。
なお、クラウドファンデングで目標金額以上のものが集まった場合、または、実際に支払う金額が予定より大幅に下回った場合は、寄付する楽器を増やすか、あるいは他の学校の支援にまわす予定です。

クラウドファンディングへのリンク

社会問題に向き合う人のクラウドファンディングサービス「GoodMorning」で、支援を募集しています。以下のリンクから支援をお願いたします。
https://camp-fire.jp/projects/view/155230

最終目標は「500×5,000」の支援ネットワーク

今回は、1口2,500円として、2口と4口の選択肢を用意しています。今回のプロジェクトが成功し、被災地にピアノの響きをとりもどす支援プロジェクトに多数のご賛同をいただけるなら、今後は「500円×5,000人」の支援ネットワークをつくりたいと考えています。このような少額の寄付でも、5,000人の賛同者がいれば、被災地にピアノを寄付することができます。

Climate change(気候変動)によって、これまで経験したことのない洪水が世界で起きています。 あまり想像したくないことですが、これから日本は、毎年のように、水害を経験することになるかもしれません(事実、平成29年7月九州北部豪雨に続いての、平成30年7月豪雨でした)。ワンコインで子どもたちの夢をつなぐゆるやかな組織体ができていれば、災害が続いても、臨機応変にピアノの響きを取り戻すことができます。ぜひこのプロジェクトを見守っていただきますようにお願いいたします。

付記

ベルリンでのチャリティコンサートにご協力くださった演奏家の方々(順不同。敬称略)
水谷川優子(Vc.)/瀬川祥子(Vn.)/谷川かつら(Pf.)/日吉麻優子(Vn.)/中村芙悠子(Pf.)/滝千春(Vn.)/倉澤杏奈(Pf.)/杉田恵理(Va.)/北端祥人(Pf.)/マーク・ゴトーニ(Vn.)/山本貴志(Pf.)

先行して2019年春の卒業式・入学式にグランドピアノを寄付
ベルリン独日協会からの義捐金をもとに、今年の卒業式・入学式に間に合わせるべく、河合楽器製作所さんからも多大なご協力をいただき、真備東中学校には、グランドピアノGL-30を先行して寄付しています(真備中学校はまだ校舎復旧中です)。

ベルリン独日協会からの義捐金をもとに、今年の卒業式・入学式に間に合わせるべく、河合楽器製作所さんからも多大なご協力をいただき、真備東中学校には、グランドピアノGL-30を先行して寄付しています(真備中学校はまだ校舎復旧中です)。

2019年3月6日真備東中学ピアノ納品
2019年3月6日、真備東中学校へのピアノ納品

現地ではまだ自宅にもどれない生徒も多く、真備中学校の生徒たちは、真備東中学校の敷地にたてられた仮設校舎で授業を受けています。そして多くの生徒は、仮設住宅からバスで通学している状況です。

真備東中学校仮設校舎と通学バス
真備東中学校仮設校舎(2019年3月)